K子とのウェザーステーション行きを断る
ハートロックから宿に帰ってきたのは16時頃でした。
その8でも少し書きましたが、実はそのあとすぐにk子とウェザーステーションに夕日を見に行く約束をしていました。
ウェザーステーションとは父島の高台にある展望台のことで、水平線に沈む夕日を見ることができる絶景スポットです。
そしてここでは世界一位二位を争うほどにグリーンフラッシュを見ることができる場所として有名です。
グリーンフラッシュとは太陽が沈むその瞬間に、一瞬だけそれまでオレンジだった太陽が緑色に輝く現象です。
科学的な理屈はレイリー散乱という現象で説明することができるのですが、簡単に解説すると太陽からは様々な波長の光が地球に到達しており、そのうち人間の目に見えることのできる光を可視光と呼びます。
そのうち日の出や日没時に見られるようなオレンジ色の光は比較的容易に地上まで届いているのですが、緑色の光は大気中の粒子などによって光が回折されてしまいなかなか地上まで届いて人間の目で認識することができません。
しかし非常に空気の澄んだ日だと太陽が沈むその一瞬だけ緑色の可視光が届く場合がごく稀に起こります(日の出の時もグリーンフラッシュは観測可能です)。
この類稀な現象が、非常に空気の澄んだ小笠原では観測することが可能です。
観測可能と言っても年に2～3回くらいしか見ることができませんから、もし見ることができればそれはとてもラッキーなことですし、見られた人には幸運が訪れるという伝説もあります。
そんなグリーンフラッシュを見るために、夕方になるとウェザーステーションには多くの観光客が集まります。
しかし直前になって私はその約束を断ってしまいました。
K子は既婚者という疑惑
なぜ直前になってウェザーステーションに行く約束を断ってしまったかと言うと、実はK子は既婚者という疑惑が浮上したのです。
指輪もしていないし、30代女が一人旅をしているのでつい独身だと思い込んでいたのですが、K子が他の人と話している会話がたまたま漏れ聞こえてしまったのですが、「K子の旦那の話？？」みたいな会話を聞いてしまったのです。
旦那？？えっ？？既婚者？？？
既婚だからダメとかそういうことではありませんが、婚活を兼ねて一人旅をしている私からしてみれば、既婚者にアプローチをしても実るものが全くありません。
本人から直接聞いたわけではないので、既婚者かどうかはハッキリしていませんが、そんな状態でこのまま2人でウェザーステーションに行って、K子が私のことに好意を持ってしまっては、私は罪作りな男になってしまいます。
というか昨日の夜のゆんたくで、K子は私にそれなりの好意を持ってしまったに違いありません。
ここはK子にとって少しクールダウンの時間を与える必要があると思ったのです。
しっかりとした約束ではありませんが、何となくのニュアンスでウェザーステーションに行くことを約束してしまった手前、ダイレクトに断るのも心が痛みますので折衷案として、ハートロックツアーのトレッキングで疲れてしまったのでちょっと休憩したいので、ウェザーステーションの途中までは一緒に行くよということにいたしました。
K子を途中まで一緒に行った後、私は宿に戻ってきてのんびりお風呂タイムとさせていただきました。
あ～サッパリした！！
ちなみに後から聞くことになったのですが、私がウェザーステーションに行くのを断ったことに対してKはとてもショックを受けていたようです。
その話を後ほど夜のゆんたくで聞くことになったのです。
ウェザーステーションから戻ってきたK子がイケメンと夜の街へ消えていく
お風呂から出た後、夕涼みとしようと思い宿の外に出たら、ちょうどウェザーステーションから戻ってきたK子と宿の玄関で出くわしました。
しかも何やらイケメンの男と楽しそうに話をしているではありませんか？
誰だコイツは！！！
ウェザーステーションでナンパされたのか！？
明らかに同じ宿の宿泊者ではないぞ！！
私は心の中でそう思いながら、もうすぐ夕食の時間だというのにK子が私に言うのです。
「彼が泊まっている宿まで彼を送っていくので、夕食は少し遅くなります。隣りの席を空けておいてね♡」
何を言っとるんじゃこの女はぁぁぁあぉぉぉぉーーーーー！！！！
あんなに仲の良かったK子が他のイケメンと夜の街に消えていく姿を寂しく見送りながら、私はK子の席を確保することなく夕食を食べ始めたのでした。
続く。
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